豊穣のテロワール

日本有数のぶどう産地から、
世界に誇るワインのまちへ。

余市において初めてぶどう作りに成功したのは1920年のこと。1984年、企業と生産者が契約を締結し、本格的なワインぶどう作りが始まりました。以降徐々に栽培農家が増加し、余市はワインぶどうの一大産地に。2010年代には数々のワイナリーが誕生し、現在では日本有数の「ワインのまち」として注目されるようになりました。余市産ワインぶどうの品質の良さは、道内でも比較的温暖な気候と昼夜の寒暖差によるもの。フランス・ブルゴーニュに似た気候風土が、ワインに適した良質の味わいを生み出しているのです。ぶどうを栽培するヴィンヤード、ワインを醸造するワイナリー、栽培と醸造を手がけるドメーヌ。ワイン造りに懸ける技術と情熱の粋が、世界品質の余市産ワインを造り出しています。

「ワインのまち」を支える、ヴィンヤードの技と情熱。

全国トップクラスの生産量を誇る余市のワインぶどう。その品質は高く評価され、全国のワインメーカーに出荷されています。それは、長年にわたり研究と改良を重ねてきた、ぶどう農家の方々の高い技術によるもの。ワインのまち・余市を支え、世界に誇る品質を生み出しているのは、ヴィンヤードのワインぶどう作りに懸ける情熱です。

北海道初の「ワイン特区」に。ワイン産業を、さらに活性化。

2011年、余市町は道内で初めて「北のフルーツ王国よいちワイン特区」として内閣総理大臣から認定されました。これによりワイン製造量の規制が緩和され、小規模事業者でもワイン造りにチャレンジしやすい環境に。個性豊かなワイナリーが次々と開業し、ワイン産業が活性化しています。

なだらかな丘にぶどう畑が広がる、まるでヨーロッパの田園風景。

余市産のぶどうが生まれるのは、余市湾を望む丘陵地帯。なだらかな斜面に美しいぶどう畑が広がります。夏から秋へ、ぶどう畑が織りなす田園風景を楽しめます。

ワイン用ぶどうの栽培面積・収穫量
ともに全国トップクラス

余市で生産量の多い主な4品種をクローズアップ。

ケルナー

ドイツ原産の白ワイン用品種。余市産のワイン用ぶどうの中では最も多く栽培されている。

ツヴァイゲルトレーベ

オーストリア原産の赤ワイン用品種。耐寒性に優れ、日本では東北以北で栽培されている。

ミュラー・トゥルガウ

ドイツ原産の白ワイン用品種で、収量が多く栽培しやすいため、世界的に広く普及している。

ピノ・ノワール

フランス・ブルゴーニュ地方原産。土壌を選び、手間がかかる、栽培が難しい赤ワイン用品種。

人と自然のマリアージュ。

生産者とシェフが語る余市産ワインの魅力

近年ワイナリーが増え、日本有数のワインの産地となった余市町。その先駆けとして質の高いワイン造りを追求し続ける「ドメーヌ タカヒコ」の曽我貴彦さんと、後志産の食材から生まれる自然の味わいにこだわるイタリアンレストラン「余市SAGRA(サグラ)」の村井啓人さんに、余市産ワインと食の魅力を伺いました。

生産者:ドメーヌ タカヒコ 曽我 貴彦さん

長野県の小布施ワイナリーの次男として生まれる。栃木県のココ・ファーム・ワイナリーで10年間農場長を務め、2010年に「ドメーヌ タカヒコ」を設立。ビオロジックにてピノ・ノワールを栽培し、自然なワイン造りを追求している。

繊細なワインの味わいには、その土地の食がマッチする

 私は長野県に生まれ、栃木県のワイナリーで10年間働き、2009年に余市に移住、2010年にドメーヌタカヒコを立ち上げました。思い描いた日本におけるワイン造りの理想気候要件は、ブルゴーニュ、アルザス、シャンパーニュの様なヨーロッパの中でも冷涼な気候風土。ワイン造りに全てをかける私にとって自ずとその条件を全て満たす北海道がターゲットになりました。中でも果樹の産地として歴史がある余市が最適な場所だと考えたのです。余市の気候は、夏は比較的涼しく、冬は温暖。山に囲まれているため、強風により作物を傷めるリスクもありません。私はピノ・ノワールを有機栽培していますが、それはこの気候風土だから成し得るものです。 

 ピノ・ノワールのような繊細なワインに合うのは、その地域で生まれる食材。余市産のワインが、余市、そして北海道の食に合うことを確実に伝えていきたいですね。近年、余市にはワイナリーが増えましたが、実はワインぶどう農家の方々に支えられている町。世界に通用するぶどうのポテンシャルの高さ、農家の方々の栽培技術に注目してほしいと思います。

豊かなマリアージュを支える人々の思いを感じてほしい

 豊かな海と大地があり、情熱を持った生産者たちがいる。そんな余市に惚れ込み、2017年に札幌から移住。泊まれるイタリアンレストラン「余市SAGRA」をオープンしました。お客さまが帰りの時間を気にせず、料理とワインをゆっくりと楽しめる場所を作りたかったのです。オリーブオイル以外の食材はすべて余市を中心とした後志産。収穫時期が夏から秋に集中する北海道余市で、一年を通してどう扱い、この土地をどう表現するかをより深化させ、ワインとともに余市の素晴らしさを伝えていきたいと思っています。

 余市のワインは個性豊かで、料理とのマリアージュを無限に広げてくれます。ひとつの町にこれほど多くのぶどう農家とワイナリーがあり、同じ畑の同じぶどうを使ってもまったく違うワインが生まれる。これぞ余市産ワインの魅力であり、余市ならではのマリアージュを支えているのは生産者=人に他なりません。余市の食とワインを心ゆくまで味わい、その豊かさを支える人々の熱い思いをぜひ感じてみてください。

シェフ:余市SAGRA 村井 啓人さん

札幌市生まれ。札幌市内のイタリア料理店およびイタリアでの修業を経て、2006年に札幌で「SAGRA」を開店。2017年に余市に移住し「余市SAGRA」として新たなスタートを切る。

町内ワイナリーリスト

余市ワイナリー

余市ワイナリー

余市葡萄酒醸造所の敷地内にあるワイナリー。レストランやカフェ、ギャラリーなどもあるほか、工場見学も可能です。

[WEB]http://yoichiwine.jp
[おすすめの1本]
樽熟ツヴァイゲルト・レーベ/720ml

ドメーヌ タカヒコ

ドメーヌ タカヒコ

全国から注目を集める小規模ワイナリー。独自の哲学から生まれる出汁のように淡く繊細な味わいが評判です。

[WEB]http://www.takahiko.co.jp
[おすすめの1本]
ドメーヌ タカヒコ ナナツモリ
ピノ・ノワール 2016/750ml

リタファーム&ワイナリー

リタファーム&ワイナリー

日当たりのよい丘に佇むワイナリー。フランスで修業を積んだ女性醸造家が伝統的な製法で繊細なナチュールワインを造っています。

[WEB]http://www.rita-farm.jp
[おすすめの1本]
「風のヴィンヤード」
ソーヴィニヨン・ブラン2019/750ml

OcciGabiワイナリー

OcciGabiワイナリー

長年ワイン醸造に携わったオーナーが手がけるワイナリー。ワインと美食と景観が一体となった贅沢な時間を味わえます。

[WEB]http://www.occigabi.net
[おすすめの1本]
キュベ・カベルネ2017/750ml

ドメーヌ アツシ スズキ

ドメーヌ アツシ スズキ

札幌軟石の蔵を改装した小さな醸造所。ぶどう栽培から醸造まで手作業をいとわずに造るナチュールワインが注目されています。

[WEB]http://atsushi-suzuki.jp
[おすすめの1本]
ヨイチロゼ 2017/750ml

ドメーヌ モン

ドメーヌ モン

自然の摂理を生かした畑作りとストレスをかけない醸造法を実践。ピノ・グリを使った北海道の食に合うワインを目指しています。

[WEB]http://domainemont.com
[おすすめの1本]
ドングリ/750ml

キャメルファームワイナリー

キャメルファームワイナリー

カルディコーヒーファームが設立。地元ヴィンヤードの知恵と技術を受け継ぎ、主にスパークリングワインを醸造しています。

[WEB]http://camelfarm.co.jp
[おすすめの1本]
レガミ ブリュット2018/750ml

モンガク谷ワイナリー

モンガク谷ワイナリー

オーナーは循環型農業を目指して余市に移住。ぶどうを発酵段階からブレンドする「混醸」によるワイン造りに挑んでいます。

[WEB]https://mongakuwinery.com
[おすすめの1本]
モンガク谷2017/750ml